インテリアスタイル
やすらぎの場を支えるのはフレキシブルな日本のスタイル
建築家夫妻の住まいは、どこまでもクリアな空間だ。白と黒の明快な配色、床に反射する澄んだ光。空間を煩雑にするモノは目につかない。あるのは住人を象徴するような2脚のイスと、空気をなごませる黄色の絵画だけ。部屋と呼べるのはここだけのようだが、生活の道具類はすべて仕舞い込まれている。モノに侵されない空間の清純さと、それを可能にする論理のクリアさが重なってくる。お二人が自邸の設計に与えたテーマは「隠遁の場」だ俗世間との交渉を絶ち、己の世界で生活すること。やすらげる場所を、あるがままの環境に求めるのではなく、自然も必要に応じて採り込みながら、自らの構想でつくり上げるという姿勢。屋敷の周囲に図林をめぐらす、中国の隠遁の考え方に共鳴したという。
光を取り入れた重厚感ある空間に
改装することが前提だから、マンションは最初から中古物件を探した。できるだけ階上で窓が多く、視界が開けていることが条件。決めたのは築灼年、60.8mの3LDK。1間の窓が東面に3カ所、南面に2カ所、柱を挟んで規則的に並び、光があふれる。「プランの基にあるのは、可変性を生かした日本の生活スタイルです。中でも茶室の考え方をべースに、イスを使う現代の生活に再現しようと考えました」